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取材が盛り上がらないのはなぜなのか考える
自分の技量だけじゃないケースも意外と多いよっていう話
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モリセ|森田さえ
2025/05/22

こんにちは! 取材屋のモリセです。

きょうは、取材を重ねていると、ときどき発生する「盛り上がらないケース」について。なぜ盛り上がらないんだろう……ということについて、私なりの考えをまとめます。


ケース①:相手が「喋り優位」だった

『営業の化学』などで知られる高橋浩一さんは、人間には「アウトプットの利き手」があると述べています。つまり、「書く」ほうが得意な人と、「喋る」ほうが得意な人がいる、ということです。


研究などの裏付けがあるわけではないのですが、たしかに皮膚感覚として、この2タイプ、分かれますよね。


さて、取材が盛り上がりやすいのは、相手が「喋り優位」だったとき。こういう人は、「へ〜」とかの相槌を打っているだけで、思いもよらない新しい情報に、勝手にたどりついたりしてくれます。

ぶっちゃけこういう人との取材で、取材側がすることは何一つありません。素材を全部集めきり、いい記事を書くだけです。ただ、雑談で話がとりとめもなく広がりやすい傾向にあるので、話題の軽いコントロールは必要かも。


一方で、「書き優位」の人の場合、やや取材者側に心構えが必要になりがちです。……というか、まあ、盛り上がらない取材になりがちです。


書きが優位かどうかの見分け方は、まあ直感なのですが……。たとえば、取材の前に想定している質問のリストを渡すと、しっかり長文で事前回答を作ってきてくれたりする人は、高確率で書き優位です。


こういう方に、事前の質問リストにない話題をふると、ものすごく困った顔をさせてしまうこともしばしばあります。内心こちらも心臓バクバクですが、ヘラヘラ取材を続けるしかありません。


tipsとして、メモなどを共有しながらお話しを進めたりすると、穏便に進めやすい傾向にはあります。


ケース②:相手が防衛的になっていた

相手がかなり「守り」の姿勢に入っている場合、取材をしても「どうなんでしょうねえ」などとはぐらかされることがあります。


守りの姿勢、めちゃくちゃ避けたいケースです。


相手が守りの姿勢に入ってしまう理由は、色々あるのですが。パッと思いつくのはこんな感じでしょうか↓


  • 企画内容が、相手にとってデリケートだった
  • 相手の体調や心の状態が悪かった
  • 性格的に防衛的な人だった
  • こちらが何かやらかして、相手の信頼を失った


相手が防衛的になってしまうケースは、結構、こちらの不手際で引き起こされていることも多いものです。できれば避けたいものですね。。。


ただ、上記のなかでも、性格的に守りの姿勢に入りやすい人(人見知りなど)の場合、打ち解ければサクサクお話しが進むことも結構あります。


あと、相手が防衛的になってしまったときは、インタビュアーの特殊スキル発動タイミングでもあります。それは、「相手が防衛的になっていると察しつつ、それに気づいていないふりをして、明るくフラットに話しかけ続ける」スキルです……!!


この技術は訓練で身につくので、ぜひ身につけてみてください。身につくまでは心が折れて泣きそうになったりしますが、自分が美人のギャルだと心から信じられると、うまくいきやすいです!! 頑張りましょう!!!


ケース③:相手にとってクリティカルな話題じゃなかった

これは、記事の監修などを依頼したケースで発生しがちなパターンです。SEO記事の慣習とか。


「専門というわけではないけど、話せと言われたので……」

「でも適当なこと言って批判されたら嫌だな……」


というような心持ちの方に取材をするときは、どうしても相手のも歯切れも悪くなりがち。また、浅〜〜い話しか引き出せないこともしばしばあります。「ネットで調べると書いてあるような話しか引き出せなかった……」みたいなケースは結構あわてます。


これも、でもまあ、こちらのやらかしです。「なぜあなたに聞かなければいけないのか」という企画意図を理解してもらってから、その人でなければ気づかない視点などをお話しいただきましょう。


ケース④:相手が言いたくなかった/言えなかった

ケース③と少し似ているのですが、相手が言葉にしようとしていないときは、どれほど取材を頑張ってもいい感じの発言は出てきません。


これはたとえば、学生さんや芸能人などで発生しがちです。


学生さんは、「立派なことを言わなきゃ」と頑張りすぎて、かえって言葉が出なくなることがあります。

特に学生さんたち(複数人)へのインタビューの場合、「周りと比べて変なことを言ってしまったらどうしよう」という不安がはたらくのか、あんまり発言数が増えない印象です。学生さんの場合は、一対一のインタビューが基本。そのうえで、こちらが初手で過剰にヘラヘラしていると、いい感じの発言が引き出しやすい印象です。


あと、芸能人などの場合は、イメージ管理のために発言を控えたり、既に別媒体で話した内容しか話してくれなかったりします。これはもう、信頼関係を築くしかないかも。。。


ケース⑤:相手が緊張してしまった

相手が緊張してしまうケースでも、取材が進みづらい傾向にあります。

とはいえ緊張してしまうこと自体は誰にでもあるもの。なるべく早めにリラックスしてもらうのが腕の見せ所ですね〜。


あとは、動画インタビューで起こりがちなのが「取材されている」という圧に負けてしまうケース。


これは、カメラなどが入ってドキドキしてしまい、言葉が上滑りしてしまう……というのが一つ。

あとは、動画はふつうのインタビューと違って、インタビュアーの声を入れたくないという特徴があります。

このため、取材者は相槌を身振り手振りだけで打つことになります。これが、普段日常生活でするような会話のスタイルと違いすぎるので、ちょっと話しづらい、という人が結構いるイメージです。


うまくいかなかったときは精進のときかも

というわけで、取材が盛り上がらないときに考えたいポイントについてまとめました。


私は個人的に、取材が盛り上がらないときは、「この状況でも盛り上げられる人もいるんだよな……」と思うようにしています。実際、どんな人でも、盛り上がる取材では盛り上がっているんですよね〜。は〜やれやれ。


取材って、スキルをフィードバックしてもらえる環境があんまりないじゃないですか。なので、取材が盛り上がらなかったときこそ、「じゃあ、どうしよう……」と考えるのが重要なのかなと。


盛り上がらなかった取材って、めちゃくちゃ胃にズーンとくるので……。スキルを磨くというよりは、ズーンの気持ちを避けるためにも、見直しをしてみると良いのかなと思っていたりします。


というわけで、盛り上がらない取材について考えてみました。ではまた来週に!


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